冬の寒さが本格化するにつれ、ストーブやこたつ、電気ヒーターなどの暖房器具を使用する機会が増えます。しかし、その一方で、暖房器具を原因とした火災が毎年多数発生しており、住宅火災の大きな要因となっています。これらの火災の多くは、使用者の「うっかり」や「ちょっとした不注意」から起こっており、日常の心がけと点検で防ぐことができます。

■ 暖房器具火災の主な原因

1. ストーブ近くに洗濯物を干す
       　ストーブの熱で洗濯物が過度に乾燥し、可燃物に引火するケースが多く見られます。特にファンヒーターの場合は、温風が思わぬ方向に当たり、距離が近いものほど危険です。
2. 電気ストーブの前に物を置いたまま使用
       　衣類、新聞、段ボール、燃えやすい家具などが近くにあると、短時間で発熱し、火災につながる恐れがあります。熱がこもることでストーブ自体が故障する場合もあります。
3. こたつコードの損傷・折れ曲がりによる発熱
       　コードを踏んだり、家具の下敷きにしたりすると内部が断線し、そこから火花が出ることがあります。古い製品ほど絶縁が弱っているため注意が必要です。
4. 灯油ストーブの誤使用・不適切な給油
       　給油中の着火、間違った種類の燃料を使用したことによる不具合、燃焼中の移動などが原因で事故につながっています。

■ 火災を防ぐための具体的な対策

● ストーブの周囲1メートルは「無可燃物エリア」に
　洗濯物・カーテン・衣類・紙類など、燃えやすいものは絶対に置かないようにしましょう。

● 外出・就寝前には必ず電源をオフに
　タイマーがあっても過信せず、必ず自分の手で電源を切る習慣をつけましょう。

● 電気コードの定期的な点検を
　・折れ曲がり　・被覆の破れ　・触ると熱い
　※これらが見られたらすぐに使用を中止し、新しいコードや製品に交換しましょう。

・使用していないコードは抜き、埃をためない。

● 灯油ストーブは「給油前消火」が鉄則
　火がついたまま給油するのは大変危険です。また、ガソリンを誤って入れてしまう事故が毎年発生しているため、容器や保管場所を明確に分けましょう。

● 換気も忘れずに
　特に燃焼式暖房器具は一酸化炭素中毒の防止のため1時間に1〜2回の換気を行いましょう。

■ 日ごろの意識が、火災防止の鍵

　暖房器具は冬の生活に欠かせませんが、安全に使用するためには「正しい知識」と「日常の習慣」がとても大切です。一つ一つの注意点を守ることで、火災を大幅に減らすことができます。

　寒い季節をあたたかく、安心して過ごすために、ご家庭の暖房器具を今一度見直してみましょう。

▼映像資料

映像資料「洗濯物を石油ストーブ上で乾かした場合の火災危険」（総務省消防庁）